No.6「薬研 ~形が語る面白道具~」(歴史民俗資料館)
『歴史の小箱』では、当館に寄贈・寄託された資料の中から、オススメの1点を展示・紹介しています。(一定期間展示した後に収蔵庫に戻します)
第6回目は、薬研(やげん)を展示・紹介しました。

江戸時代の薬研
薬研は、草や根などを細かく挽き、粉末状の薬をつくるために使いました。紹介する資料は、江戸時代に前久保村の医師だった中井家で実際に使用されていたものです。
薬研は「薬を研ぐ」と書きますが、使い方を考えると意味が良くわかります。
円盤形の刃の中央を通る軸棒の両端を持って、転がしながら押しつぶすように思われがちです。ところがこの方法では粉になりません。V字形の受け皿の壁に刀の刃を研ぐようにすり合わせると、あっと言う間に粉末にすることができます。

刃を研ぐように使います
薬研のV字形は、モノの特徴をあらわす用語として使われることがあります。
中世の石造物の板碑。板碑に刻まれた諸仏をあらわす種子(しゅじ)は、断面が深いV字をなしています。この彫り方を「薬研彫り」といいます。
中世武士の館跡や寺院跡で発掘される、断面がV字に掘られた深い溝を「薬研堀」と呼ぶことがあります。

V字形の薬研の受け皿

深いV字断面の板碑「薬研彫り」
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更新日:2023年10月17日