No.20「昔のアイロン」(歴史民俗資料館)

更新日:2023年10月17日

  『歴史の小箱』では、当館に寄贈・寄託された資料の中から、オススメの1点を展示・紹介しています。(一定期間展示した後に収蔵庫に戻します)
 第20回目は、衣服のしわをのばす道具「昔のアイロン」を展示・紹介しています。(現在展示中)

火のし

 火のしは日本で最初に使われていたアイロンで、江戸時代にはすでに使われていました。ひしゃくのような金属の入れ物に炭火を入れ、炭火の熱と入れ物の重さで布のしわをのばしました。火のしにはふたがなかったため、炭火が外にはじけ飛んで布をこがしてしまうこともあったようです。

柄杓のような形をしており、取っ手がついている金属製の火のしの写真

火のしの底は布のシワがのばしやすいように平らになっています。

炭火式アイロン

 炭火式アイロンは明治時代から普及したアイロンで、外国から輸入されたことをきっかけに、日本でもたくさん作られるようになりました。まだ家庭には電気が普及していなかったため、炭火式アイロンも火のしと同じように、炭火を使って布のしわをのばしました。
 炭火式アイロンにはふたがついているため、炭火が飛んで布を焦がすことがなくなりました。また、炭火を燃やしてでた煙を外に出し、燃えやすくするための煙突がつきました。アイロンのうしろには空気穴がついていて、温度が下がると空気穴を開けて空気を送りました。

煙突のついた炭火式アイロンを横から撮影した写真
開閉可能な空気穴が付いている炭火式アイロンの後ろ側を撮影した写真

炭火式アイロンは今とアイロンとよく似た、船のような形をしています。使う時には、アイロンの面に水滴をとばして、蒸発する音でどのくらいの温度なのか確かめました。

陶製アイロン

 第二次世界大戦が始まると、金属を溶かして戦争の武器にするために、政府は国民から金属の回収を始めました。そのため、鉄製のアイロンのかわりに陶器でできたアイロンがつくられるようになりました。
 陶製のアイロンは中にお湯を入れて、お湯の蒸気や熱で布のしわをのばすものでしたが、温度が低く、あまりしわはのびなかったようです。

陶器で作られた白い陶製アイロンの全体写真
陶製アイロンの先端に蒸気を出す用の小さな穴が開いている様子の写真

アイロンの先端に穴が空いていて、そこから蒸気が出ました。

電気アイロン

 日本の電気アイロンは大正時代に初めてつくられ、昭和のはじめ頃には安く売られるようになりました。はじめのころは温度を変えることができませんでしたが、炭火を使うものより便利だったため、多くの家庭で使われるようになりました。
 昭和の終わり頃までには、布の種類に合わせて温度を調節できるようになりました。また、平成に入るとアイロンに電源コードがついていない、コードレスの電気アイロンが使われるようなり、今の主流になりました。

コンセントのコードが付いた電機製のアイロンの写真
電機製アイロンの取っ手の部分にダイヤルが付いている写真

昭和期に日立製作所で製造された電気アイロンです。取っ手にダイヤルがついていて、布の種類によって温度を調節しました。

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